クリオ札幌北3条

物件概要

住所:北海道札幌市中央区北3条東6丁目338-1

物件名 クリオ札幌北3条
用途 分譲マンション
構造種別 RC
階数 地上14階建
延床面積 2677.59㎡
竣工年 2022年11月
TSUYOKU適合番号 T00025
認定耐震建築家 田中 真一

耐震建築家よりコメント

耐震建築家 山本 健介
耐震建築家 山本 健介
大学卒業後、小規模住宅メーカーに勤めた後にさくら構造へ中途入社。判定会の厳しい指摘も「新しい発見」と捉え、構造技術者としての研鑽を積む。その後、対応できる技術者が限られる「時刻歴応答解析(地震応答解析)」の領域へ進出。特殊なプログラムや数式を駆使し、建物の挙動を精密に解明する高度な解析業務に従事。知的好奇心を原動力に、最先端の理論を実務に落とし込む解析スペシャリストとしてのキャリアを形成してきた。

耐震建築家の視点から、14階建ての当物件「クリオ札幌北3条」の構造設計の意図と、建物の安全性を高めるための細やかな工夫について解説いたします。

1. 建物の形状(塔状比)に応じた最適なハイブリッド架構 本物件は、建物の幅に対して高さがある「塔状比が高い」スレンダーな形状をしています。そのため、方向によって異なる構造アプローチを採用しました。 X方向は柱と梁で構成される「純ラーメン構造」とし、大地震時の層間変形角(建物のしなり具合)を1/75以下に厳格に抑え込む設計を行っています。一方、Y方向は「耐震壁付きのワンスパンラーメン構造」を採用しています。塔状比が高い建物において重要となる「剛性(硬さ)」と「耐力(強さ)」の両方を確保するため、曲げ壁形式の耐震壁を効果的に配置し、地震の揺れにしっかりと抵抗する骨格を作り上げています。

2. 地震時の「引き抜き・転倒」を防止する強固な杭基礎 塔状比が高い建物は、大地震時に足元へ強い「引き抜き力」が働き、転倒しようとする力が大きくなります。当物件では、事前の詳細な地盤調査に基づき、シルト層の影響や引き抜き抵抗を正確に読み取った基礎設計を行っています。 地下約16mのN値が極めて高い強固な地層に対し、場所打ちコンクリート杭を確実に打ち込むことで、建物の重さを支える「支持力」だけでなく、地震時の浮き上がりに耐える「引き抜き耐力」を同時に確保し、建物の転倒を強固に防止しています。

3. 施工品質を担保する「鉄筋の最適化」と「流動性の確保」 地震時に大きな負荷がかかる柱や梁には、せん断補強筋として「高強度鋼(高強度鉄筋)」を使用し、構造の粘り強さを高めています。 また、コンクリート内部の鉄筋の納まりにも高度な配慮がなされています。柱断面をあえて大きく設定することで鉄筋比を最適化し、梁の主筋の定着部分には従来のように鉄筋を曲げるのではなく「定着板」を使用しています。これにより、接合部における過度な鉄筋の密集を避け、コンクリートの流動性を確保し、隅々まで密実に充填されるよう工夫することで、図面通りの高い強度が現場で確実に発揮される設計となっています。

4. 世代を超えて受け継がれる耐久性と、日々の快適性 構造的な安全性だけでなく、建物自体の長寿命化を目指し、住宅性能評価における「劣化対策等級3(最高等級)」を獲得する仕様としています。 さらに、日々の暮らしの快適性に直結する各階の床スラブ(コンクリート床)には厚さ200mm(20センチ)を採用し、高い防音性を確保しています。強靭な「防耐震性」による安心感と、静かで快適な住環境、そして将来にわたる「耐久性」を高い次元で兼ね備えた建物と言えます。