耐震建築家の知識と技

地震大国・日本を支える構造設計のプロフェッショナル

「構造設計は構造計算ソフトを使うのだから、誰がやっても結果は同じ」と思われがちですが、実際はそうではありません。
構造設計者の経験やセンス、方針や判断の違いにより、躯体数量換算で20%以上の差が出ることも多々あります。
だからこそ構造設計者は知識と経験の蓄積と、計算結果に責任と勇気を持って理論的に明言できる「工学的判断」の修練を怠ってはなりません。
[TSUYOKU]が定義する「耐震建築家」は、地震大国・日本の建物を支える構造設計のプロフェッショナル。
建築構造の知識と経験をフル活用し、的確な工学的判断によって高耐震化を推進し、社会課題の解決に取り組んでいきます。

「耐震建築家」として日本の課題解決に挑む

マンションやビルなどを建設する際には「構造設計一級建築士」が構造設計に関与することが義務付けられています。
構造設計一級建築士とは一級建築士の上位資格にあたり、一級建築士37万人に対して約1万人という希少な資格です。
しかし、ただ構造図をつくるだけが構造設計一級建築士の役割ではありません。
耐震性向上を自らの使命として、豊かな経験に裏打ちされた最適解を導き出し、地震大国・日本の課題解決に挑み続ける──そんな人を、[TSUYOKU]は「耐震建築家」と呼びます。

機械にはできない想いをくみ取る仕事

施主は建築物に、夢、希望、思い出、感情、欲望などを落とし込み、建築家と一緒に設計をしていきます。

どんなに時代が進歩し、人工知能や機械が発展しても施主や、暮らす人々の想いをくみ取ることは私たち人間である構造設計者にしかできません。

時には、多くの震災で被災した人たちのことに思いを巡らし同じことを繰り返さないという気持ちで建築物の安全を守ります。

デザインと耐震性の両立

意匠設計を尊重しながら耐震性を向上させる

意匠設計はデザインを優先して作成されるため、構造の耐震性までは考慮されていません。
たとえば大開口・大空間の家は採光性が高く開放感がありますが、柱や壁が少なくなる分、建物の強度に課題が生じます。
柱や梁と壁の間にスリットを入れて地震時に骨組みに加わる力を分散させる「耐震スリット」がありますが、スリットを入れた壁は耐震壁になりません。
デザインと耐震性を両立させるため、むやみに耐震スリットを入れずに、施主・意匠設計デザイナーと打ち合わせを繰り返し、デザインを大きく変えることなく耐震性を上げることが耐震建築家の腕の見せ所です。

高耐震は高コスト?

建築コストと耐震性の関係

震度7の地震で倒壊する確率は、等級1で約28%、等級2で約7.9%、等級3で約3.5%。※
コストをかければ、耐震性は誰でも簡単にあげることができます。
しかし、それではTSUYOKUが目指す「すべての人があたりまえに高耐震建築の家を選択できる世の中」を実現することはできません。
TSUYOKUは不要な部材は減らし、耐震上必要な部材は増やすように設計することで高耐震建築のコスト上昇を抑えます。
この「引き算」「足し算」を同時に行う技術は高度であり、耐震建築家だからなせる業と言えます。
※参考文献:「被害発生確率を用いた耐震等級の説明の有効性」日本地震工学会論文集第7巻、第6号、2007

先輩たちから受け継いだ伝統の耐震技術

日本人は、諸外国から見ても勤勉、まじめ、約束を守る、良心に恥じない行動をするなど倫理感が強い人種と言われています。
たとえ自分の評価に繋がらなくとも、建築物を使う人にとって「正しいこと」を、私たちの先輩が愚直に行ってきた結果の積み重ねが、いまの日本の建築を強くしました。
この、世界一と言われる日本の構造設計技術を私たちは代々受け継ぎ、新しい技術の進歩を取り入れ、次の世代に引き継ぎ世界に発信していくことも私たちの大事な責務です。