品質管理ガイドライン
建築業界における過去の社会問題はいつも構造躯体で多く発生してきました。
建築構造は専門性が高く構造的異変に気付きにくい事と、仕上げでふさいでしまえば隠れて見えなくなるためです。
TSUYOKUでは設計品質・現場品質共に属人化をなくし、厳格なガイドラインによってミスやバラツキを減らした品質管理を徹底します。
構造設計は誰がやっても同じではない
建物の設計はひとりで全て行うわけではありません。
一般的に意匠設計、設備設計、そして構造設計の3つの分野に別れて設計を進めていきます。
意匠設計者は間取りや建物のデザインを設計し、設備設計者は空調や音響、光や配管などの設計にあたります。
構造設計者は建物の安全を確保しながら、建物の構造躯体(柱、梁、壁、床、基礎等)を設計します。
構造設計は与えられた条件で法律通りに計算しているだけと思われがちですが、下記のような人によって判断が異なる場面が多くあり、結果や品質にばらつきが生じます。
- 1. 構造計画(柱・梁・耐震壁配置)が違う
- 構造種別を鉄筋コンクリート造とするか、鉄骨造とするか。柱の本数を12本で設計するか、11本で設計するか・・・構造設計者によって判断が変わり、結果に大きく影響します。
- 2. 建物の荷重の拾い方、かけ方が違う
- 荷重の拾い方ひとつでも、大まかにざっくりと拾うか、実状に沿って拾うか、構造設計者によって方法が異なります。
- 3. モデル化(応力計算条件)が違う
- 構造計算しやすいように建物を単純化することをモデル化と言います。部材のかたさの設定や耐震スリットの入れ方、その他様々な場面で判断する必要があります。結果への影響が大きい作業のひとつでもあります。
- 4. 断面算定の条件が違う
- 柱や梁の断面を算定する式は、ひとつとは限りません。どの式を使って設計するか、構造設計者が判断します。
- 5. クライテリアの設定が違う
- 積載荷重条件、遮音性、地震力、たわみ・振動、層間変形、建物の耐力等はお施主様と協議しながらクライテリアを設定します。前述した効率化のためや、コミュニケーション不足から、過剰なクライテリアを設定する構造設計者もいます。
建築業界における過去の社会問題の多くは構造躯体で発生してきた
2005年に建築業界を震撼させた事件が発生しました。
それは、構造計算書偽装事件です。再発を防止するため建築基準法が改正され、建築申請手続きが変わり、構造計算書のチェック体制が厳しくなりましたが、その後も免震装置の検査データ改ざん、杭打ちデータ偽装等、構造躯体で問題が発覚し続けています。
2023年に発覚した大手建設会社での鉄骨精度不良検査データ偽装の問題は、皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。
仕上げや設備は不備が表面化しやすいため慎重に施工しようとする心理が働きます。
構造躯体は仕上げで覆われると見えなくなってしまうため、工事現場で不手際があっても隠されてしまう危険が孕んでいるにも関わらず、タイトな工期、構造の知識が乏しい現場監督任せなど品質が低下してしまう要因があります。
品質管理のガイドラインの必要性
このような背景から、品質管理意識の高い大手デベロッパーは企業独自の仕様書を作っており、品質管理が徹底されています。
現場監理も建築構造の専門家が必ず関与するようになっています。
しかし、中小デベロッパーは仕様書もなく、エンジニアが確保できない等の理由から構造設計者や現場監理の技量任せになってしまっているため、当たりはずれが出てしまうのが現状です。
TSUYOKUでは設計品質・現場品質共に属人化をなくし、厳格なガイドラインによってミスやバラツキを減らした品質管理を徹底します。